2019/06/19
予防接種について
個人個人(保護者)が十分に予防接種の意義・必要性を十分納得した上で予防接種を受けましょう。 「通知が来たから」「みんなが受けているから」「テレビで受けた方がよいと言っていたから」ということで接種する、逆に「なんとなく受けそびれてしまった」「副作用が怖いから」「自然に罹った方がよいと聞いたから」ということで接種しなかったり、といった受動的な理由で接種したりしなかったりということはないでしょうか? 小児科医として、子ども達(さらに社会全体)の健康維持のために多くの子ども達に安全に予防接種を受けてもらえるよう考えています。 そのために、出来るだけ正しい情報を提供することでみなさんのお役に立てればと思っています。
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予防接種の意義・必要性
感染症予防に対して予防接種が果たしてきた役割は計り知れないものがあります。種痘は地球上から痘瘡を根絶させ、ポリオ生ワクチンは日本全国から小児まひ患者の発生を一掃し更には世界的なポリオ根絶に向けて接種が行われており、麻しんに関しても多くの先進諸国ではほぼ根絶された状態になってきています。 今の日本では、感染症が命と引き換えといううような時代が過ぎてしまい、特に予防接種の対象となっている感染症の発生は減少し、予防接種の果たして来た功績が忘れられてきている様にも感じます。 現在使用されている予防接種ワクチンは、十分に効果と安全性が検討されていますが、不可避的な予防接種による健康被害(副反応)が僅かであっても発生するのも事実です。 感染症の大規模な流行が少なくなってきた日本でも、麻しんや風しんの流行でも分る様に、予防接種の接種率が低下したりして社会全体の免疫が低下すると流行が発生するような下地は常に存在しており、お子さんや自分自身、更には社会全体の感染症予防の為に、接種適応のある方は適切な時期に予防接種を積極的に受けることをお勧めします。 予防接種をせずにいる方も、運良く予防接種の対象となる感染症に罹らないでいられるのは、周りの多くの人たちが予防接種を受けているために、その感染症の流行が抑制されているおかげという事を考えてみて下さい。
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接種者(私自身)の予防接種に対する気持ち
予防接種による重大な健康被害(副反応)はないことが理想ですが、僅かでも不可避的な予防接種による重大な健康被害(副反応)が発生する可能性があります。 それは、予防接種がその対象となっている感染症から子ども達や社会全体を守ってきてくれたという歴史的事実があるからです。 予防接種による重大な健康被害(副反応)の可能性を見積もっても、予防接種対象疾患が流行した場合に発生する健康被害や様々な損害を考慮すると、予防接種を行いその感染症の発生を抑えることで個人や社会全体が守られる事の方が遥かに有益であるからです。 但し、多くの人の利益の為に僅かでも起こってしまった予防接種の健康被害に目をつぶって済ませてしまう訳にはいきません。現時点で、不可避的な予防接種による健康被害の発生は予知することができません(予知出来るものは接種者により回避されるはずで、その場合には予防接種による被害というよりは接種者の責任になります)。 予防接種の健康被害に対しては、国の救済制度などがありますが、金銭的な給付制度だけであり、被害者に対する精神的・社会的なサポート体制は十分に整えられていないのが現状だと思います。 予防接種の対象疾患は、今の日本では発生が少なくなってきていますが、2007年の麻疹の流行でも分る様に、予防接種対象疾患は撲滅された訳ではなく、予防接種率が低下し社会全体の免疫が低下すれば、いつまた流行が発生するかわかりません。その時に発生する健康被害や様々な損害を考えれば、予防接種の必要性は明白だと思います。 一方で、予防接種による効果や役割を無視しつつ健康被害を強調して予防接種を否定するような活動を見受けることがありますが、予防接種の対象疾患に実際に罹ってしまい、それにより生じた健康被害に対して誰が責任を取ってくれるのか考えてみて下さい。いかに無責任な活動であるか分ると思います。 最終的にお子さんが予防接種を受けるかどうかの判断は保護者がしなければなりません。その判断のために、正確な情報を提供する役割が行政や我々医療従事者にはあると考えています。
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個々の予防接種やスケジュールについて
予防接種の一般的なことに関しては、予防接種の通知と一緒に送付されてくる冊子「予防接種と子どもの健康」( 予防接種リサーチセンター発行)をよく読んで下さい。
<定期予防接種> 法律(予防接種法)に基づいて行われるもので、個々の接種方法(接種期間や対象者など)について一定の決まりを設け、これに関しては国が責任を持ち、実施については地方自治体の責任において行われ、費用も地方自治体が全額あるいは一部を公費で負担して行われます。
対象となる予防接種: BCG(結核)、B型肝炎、ロタワクチン、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、DPT-IPV(ジフテリア・破傷風・百日咳・不活化ポリオ)、不活化ポリオ、DPT(ジフテリア・破傷風・百日咳)、DT(ジフテリア・破傷風)、MR(麻しん・風しん)あるいは麻しん単独・風しん単独、水痘、日本脳炎、子宮頸がんワクチンおよび、高齢者(65歳以上)のインフルエンザ
個々の接種時期などは法律で定めらており、その規定から外れた場合には定期接種の対象とならなくなってしまうので注意が必要です。 定期予防接種の対象とならなくなるということは、公費負担を受けれなくなったり(自費で接種する)、副作用が発生した時に国の保障を受けられなくなる、ということです。 ただし予防接種法での決まりは、多くの子どもが出来るだけ適切な時期により安全に予防接種を受けられるよう定められたものですが、純粋な医学的判断とは別のもので、定められた通りに接種しないと効果が得られないとか副作用がでるといったことではありません。
<任意の予防接種> 定期接種以外のもので、各自の任意の意志で接種するもので、多くの場合公費負担制度はなく自費での接種となります。副反応に対する保障は、他の医薬品と同様に「独立行政法人医薬品医療機器総合機構による医薬品副作用被害救済制度」に基づくものとなります。
任意の予防接種: おたふくかぜ、A型肝炎、インフルエンザ など その他、定期接種で接種できなかったワクチン
<予防接種のスケジュールについて>
先に紹介した冊子にも記載されていますが、最新のスケジュール表は以下で確認できます。 「2019年4月以降のスケジュール表」(国立感染症研究所:感染症情報センター)
以下も参考にして下さい。
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当クリニックでの予防接種について
予防接種は原則予約制で行っていますので、必ず事前に電話(047-311-3131)や直接来院して予約をして下さい。 休診日以外の平日14時から15時の間は、乳児健診や予防接種などを一般診察とは別に時間を設けています。 予約の際に年齢や接種間隔などの確認をしますので、予約の前に各自再確認をお願いいたします。 各予防接種の対象年齢や接種間隔は、予防接種と一緒に送られてくる冊子などで確認して下さい。 他の予防接種との間隔は前述に冊子などで確認できますが、 注射生ワクチン(BCG、ポリオ、MR、麻しん単独、風しん単独、水痘、おたふくかぜ)の後に他種の注射生ワクチンを接種する場合には4週間間隔をあける必要がありますので注意して下さい。 *複数のワクチンを同時に接種することが可能です。
分らない事がある時には、クリニックにご相談下さい。 また、定期接種の対象から外れてしまったからといって、自費にはなりますが接種が出来ない訳ではないので、接種してないものがある場合にはご相談下さい。
クリニックで行っている予防接種
<定期接種> BCG、B型肝炎、 ロタウイルスワクチン(ロタリックス/ロタテック)、Hibワクチン、肺炎球菌ワクチン、DPT、不活化ポリオ、DPT−不活化ポリオ混合、DT、MR(1期・2期)、麻しん単独、風しん単独、日本脳炎、2価ないし4価子宮頸がんワクチン *子宮頸がんワクチンは、現在積極的接種勧奨は見送られていますが、接種希望があれば定期接種として接種は可能です。
<任意接種> おたふくかぜ、インフルエンザ、A型肝炎 9価ヒトパピローマウイルス(子宮頚がん)ワクチン その他定期接種で接種対象年齢に受けられなかったワクチン
自費接種の費用など:(平成26年4月以降の価格です) 水痘:1回 8000円 おたふくかぜ:1回 6500円 インフルエンザ:毎年確認が必要 B型肝炎:1回 5500円 通常計3回接種 A型肝炎:1回 9000円 通常計3回接種(供給が不安定なため事前にお問い合わせ下さい) MR:1回 8800円 麻しん単独:1回 6600円 風しん単独:1回 6700円 Hib:1回 8200円 2ヶ月以上7ヶ月未満 初回3回と追加の計4回 7ヶ月以上12ヶ月未満 初回2回と追加の計3回 1歳以上5歳未満 1回 肺炎球菌ワクチン(プレベナー):1回11800円 年齢に応じ計4回〜1回の接種 *高齢者対象の肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)は行っていません。 4価子宮頸がんワクチン(ガーダシル):1回18000円 計3回接種 9価子宮頸がんワクチン(シルガード):要確認 計3回接種
*費用は適宜見直し変更となる場合があります。
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複数ワクチンの同時接種について
当クリニックでは、種類の異なる複数のワクチン同時接種を行っています。 複数のワクチンを混合することは出来ませんので、同時接種の数に応じて左右の腕に1箇所〜2箇所+左右大腿に1箇所(計2〜6箇所)接種が可能です。 基本的にどのワクチンの組み合わせも可能(例外あり)で、当クリニックでは、種々組み合わせで2〜5種類の同時接種を行っています。 日本以外の諸外国では、ワクチン接種の機会を逃さないように同時に出来るワクチンは可能な限り同時に接種するのが当たり前のこととなっています。 ワクチンを同時接種することで効果に差はなく、副反応のリスクが増えることもありません。ただ、副反応が認められた場合には、同時に接種したどのワクチンによる副反応なのかの判定は困難になる可能性は考えられます。 同時接種の利点は、子どもたちが機会を失うことなく適切な時期にワクチンで免疫をつけることができること、乳児期に何回も医療機関に出向く負担を軽減できるなどがあげられます。医療機関側としても同時接種をすることで、より多くの子どもたちに接種機会を提供することができ、接種の遅延を減らすことができます。特に、ヒブ(Hib)や肺炎球菌ワクチンは早い時期(生後2ヶ月)からの接種が強く推奨されます。
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