ワクチン接種の副反応と接種後の有害事象について
当たり前のことですが、「ワクチンの副反応」とは、ワクチン接種が原因でおこった健康被害(有害事象)のことで、接種後のアレルギー反応(アナフィラキシー)、接種後の発熱、接種部位の発赤・腫脹などが比較的分かりやすい出来事だと思います。
「ワクチン接種後の有害事象」とは、「ワクチンの副反応」だけでなく、ワクチンと無関係なワクチン接種後におこった偶然の健康被害が含まれます。
脳炎や死亡といったワクチン接種後の有害事象では、「真の副反応」より「偶然の有害事象」の方が多いと考えられています。
「そんなに偶然が重なることはないのでは?」と思われるかもしれません。
日本では年間約1000人ほどの子どもたちが、インフルエンザやその他のウイルス感染症などの原因により脳炎にかかっています。
また、年間約150人の子どもたちが「乳児突然死症候群(SIDS)」で亡くなっています。また、このSIDSを含め先天性の病気や感染症などの原因で毎年約2500人の乳児が亡くなっています。
残念ながら、これらの出来事と予防接種の時期が重なってしまうことは避けられない場合もでてきてしまいます。
ただし、ワクチン接種との因果関係がはっきりと証明できないけれど、他の原因も確定できない事例も当然存在します。
SIDSなどは、個別に判定することは非常に困難ではないかと思います。
ではなぜワクチンが安全とされているかといえば、ワクチン接種(同時接種を含め)に関連してSIDS発生頻度が増えないことが世界的に確認されているからです。
平成11年3月に、予防接種後の死亡報告がたて続いたためヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種見合わせに至った事例がありましが、その後の専門家による検討会で予防接種との関連性はないとの結論から速やかにヒブワクチン・肺炎球菌ワクチン接種(同時接種を含む)が再開されました。
残念なことに、この事態以後に予防接種(特に同時接種)に対する不安が広まってしまった印象があります。
ワクチンで予防できる病気から子どもたちを守るために、保護者のみなさんが、子どもたちに適切な時期にワクチン接種する機会を逃さないよう、ワクチン接種を控える事がないことを願っています。
2012年7月 上原こどもクリニック
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