2011/09/19

子宮頸がんワクチン(HPVワクチン):サーバリックス と ガーダシルについて

ちょっと長くて分かりずらいと思いますが、、、

 

サーバリックス(グラクソ・スミスクライン社:国内発売2009年12月)の他に、ガーダシル(MSD社:国内発売2011年7月)が日本でも使用可能となり、平成23年9月15日からサーバリックスと同様の費用助成対象となりました。

国際的には、先に登場したのはガーダシル(国際誕生2006年6月)でサーバリックス(国際誕生2007年5月)の方が後に登場しており、現在の国際的なシェアは、おおよそガーダシル:サーバリックス=8:2となっています。

子宮頸がん発症に関わるヒトパピローマウイルス(HPV)16型・18型の抗原を含む点では同じですが、ガーダシルにはそれ以外に子宮頸がんとは別の尖圭コンジュローマ(性器にできるイボ:俗に言う性病の1種です)の原因となるHPV6型・11型の抗原が含まれている点が大きく異なります。

それなら、予防できるものが多いガーダシルの方が良いのではと思うのは当然ですが、話は単純ではありません。

2種類のワクチンとも登場してからまだ約5年しかたっていなので、実際にHPV16型・18型が関与している子宮頸がんの予防効果がいつまで持続するのかなど追跡調査中で、不確定な要素を含んでいます。

今のところメーカーの資料では、ガーダシルでは最長5年間の予防効果の持続が報告されており、サーバリックスでは最長6.4年の予納効果の持続が報告されています。予防効果の持続期間に関しては、接種者に対する追跡調査が現在進行形で行われており、今後のそのデータに応じ延長されることとなります。

実際の予防効果とは別に、接種後のHPVに対する抗体量の評価も行われており、接種後の抗体量はサーバリックスの方がガーダシルより多くなっています(調べている抗体の種類が異なるため単純に比較はできません)。サーバリックスについては、接種後8.4年でHPV16・18型とも自然感染による抗体量の約10倍の抗体量を維持しているデーターがあり、接種後の抗体量の低下具合から推測して20年は高い抗体量が維持できると推測されています。一方、ガーダシルに関しては、HPV18型に対する抗体量の減少が早く、5年後には自然感染による抗体量以下のレベルまで低下したとの報告があります。ただし、子宮頸がん発症予防効果にどのくらいの抗体量の維持が必要なのか現在データーはないので、一概に抗体量で予防効果を比較する事が今のところできません。ただ、普通に考えたら抗体量が高く維持されることにこしたことはないと思います。

どちらのワクチンも今後のデーターの蓄積に伴い、追加の接種が必要になってくる可能性があります(抗体量の推移だけをみると、ガーダシルの方が早い時点で追加接種が必要になる可能性があるように思います)。

その他、サーバリックスに関しては、HPV16・18型以外にも子宮頸がん発症に関係する31型・33型・45型・51型・58型に対する効果(クロスプロテクション効果)の報告があります(今後ガーダシルでも同様の報告がでてくる可能性はあります)。

子宮頸がんの予防だけで考えるとサーバリックスに歩があるように思いますが、尖圭コンジュローマも命には関わりませんが、なってしまうと治療に難渋するので予防できるならガーダシルか、と迷うことになります。今後の追加接種を覚悟でガーダシルと言う選択肢もありかなと思いますが、主目的である子宮頸がんの長期的な予防効果に関しては、今後の追跡調査の結果を追っていくしかありません。

接種時の疼痛、接種部の腫れや発赤、接種後の倦怠感といった副反応は、サーバリックスの方が多く報告されています。

今後自分で持続的にしっかりと子宮頸がんの予防に対して意識を持ち続け、必要なら追加接種を受けることも理解して納得しているのであればガーダシルもよいかと思いますが、とりあえず費用助成の通知がきたから接種しておこうかな程度で、今後子宮頸がんの予防意識を持続する自信がないようであればサーバリックの方が無難ではとも思います。

 

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