2009/01/18

 

今シーズン(2008−2009)のインフルエンザ治療基本方針

 

タミフルと異常行動についての基本事項

インフルエンザ治療の基本方針

 

サイト内「インフルエンザの薬(タミフル)について」「インフルエンザについて」も参考にして下さい。

 

タミフルと異常行動についての基本事項

 

 2001年にタミフルが保険適応となり、昨シーズンまでインフルエンザの治療薬としてタミフルが第一選択薬として使用されてきましたが、2005年に、インフルエンザに対するタミフル使用時の異常行動による事故(飛び降り)の報告があり、その後10歳代に未成年者での同様の報告が続き、タミフルと異常行動の関連が問題視されるようになりました。

 タミフルと異常行動の因果関係は現在のところ明確にはされていません(現在調査中)が、平成19年3月に10歳以上の未成年者に対するタミフル使用を原則差し控えることが決められました。

 インフルエンザ罹患時の異常行動に関しては、タミフルが使用される前から診療現場では、高熱(主に睡眠中)に伴い、訳の解らない事を言い出したり、訳も解らず動き回るといったようなことは経験されており、異常行動の要因としては最低でも以下のようなことを考慮する必要あると思います。

    1、熱せん妄(いわゆる高熱にうなされた状態)

    2、脳炎・脳症の症状

    3、タミフルの副作用

    4、タミフル以外に薬が使用されていればそれらの薬の副作用

 3、4、に関しては、該当薬剤の使用で、使用していない場合に比べて異常行動の頻度が違うのか程度がひどくなるかなどを調査するする必要があります。

 タミフルに関しては、現在調査中でまだ因果関係について結論はでていませんが、調査結果がはっきりするまでは疑いがあり取り除くことができる要因としてのタミフルの使用が、事故の報告が10歳代に集中しており、また異常行動が発生した場合にも注意していても家族が静止することが困難な可能性があり、事故に発展しやすいといった事情から、10歳以上の未成年者に対して制限されました。

 タミフルの使用により、異常行動の頻度が増えるようなことはない様ですが、程度(内容)に影響があるかどうかは今の所はっきりしません。

 

 

インフルエンザ治療の基本方針

 

 インフルエンザ罹患時の異常行動に関しては、熱せん妄想や脳炎・脳症の症状としても発生する可能性があるので、タミフル使用の有無にかかわらず、特に発症初期の熱の高い時期には年齢に関わらず注意して経過をみる必要があり、インフルエンザにかかったお子さんは一人っきりにしないで保護者の目のとどく状況でゆっくり休養することが原則となります。

 インフルエンザは、通常は健康なお子さんや成人ではゆっくり無理をせず休養することで、特別な治療をしなくても自然に治癒する感染症です。かかったらすぐに(48時間以内)にタミフルなどの抗インフルエンザ薬を使わないと治らないというようなものではありません。

 このことを前提として、健康上インフルエンザに罹る事での健康被害のリスクの高いお子さんを除いて、タミフルを使用するかどうかは保護者責任の元での判断にお任せします。

 保護者の方が、インフルエンザおよびタミフルに関して十分理解した上で、タミフルの処方を希望される場合には、タミフルを処方します。

 ただ、インフルエンザウイルスの耐性化の問題を考えると、今後タミフルなどの抗インフルエンザ薬の使用に関して、その適応など今後考えていかなければならないと思っています。

 

 10歳以上の未成年者のお子さんに関しては、原則タミフル処方はしませんが、保護者の方がいろいろな情報を十分理解した上で処方を希望された場合には、同意書に署名いただきタミフルの処方をする方針です。

 1歳未満の乳児に対しては、異常行動の問題とは別にもともと適応承認は取れておらず、製薬会社からも使用しないようにとの通知が出されていますが、その内容を理解した上で保護者の方がタミフル処方を希望される場合には処方する方針です。
 詳細につては「1歳未満の使用について」を参照して下さい。

 

タミフル以外の抗インフルエンザ薬について

 A型インフルエンザに対するシンメトレル(内服薬)は、インフルエンザウイルスのシンメトレルに対する耐性化の問題から使用は考えていません。

 A・B型インフルエンザに対するリレンザ(吸入薬)は、吸入が可能であれば処方しまずが、供給量が少ない薬剤なので流行期には欠品する可能性があります。

 
Copyright (C) 2009 UEHARA Childeren's Clinic. All Rights Reserved.